推しに告白(嘘)されまして。




「…絶対にお兄様を選んだ方がいいわ。お兄様はあの華守を継ぐ男なのよ?そこら辺の男とはスケールが違うわ。顔もいいし、何をやらせても完璧で、お金まである。一体何が不満なのかしら?」



怒っているような、熱く燃えているようなそんな雰囲気を身にまとって、真剣な表情で千夏ちゃんが私に訴えかける。

何が不満なんだと言われましても。
不満はないが、別に異性として見ていないというだけなのに。



「あ、あのね。千晴は私の大事な後輩なの。それ以上でも以下でもないの。不満とかそういう問題じゃあないのよ」



宥めるようにそう言うと、千夏ちゃんはその目を涙で潤ませた。

え、泣かせてしまった?



「わ、わたくしは、アナタを華守の女として認めているの。ただ男癖が悪いだけだわ。だから見張ってでも、何をしてでも、アナタを華守の女に相応しくするつもりだったの。それなのに、それなのに…」



ついにほろほろと涙を流し、苦しそうに話す千夏ちゃんに、おろおろしてしまう。
全く私は悪くないのだが、罪悪感に押し潰されそうだ。



「お兄様ではダメなの?」



涙を堪えて、じっと私を見つめる千夏ちゃんに胸が痛くなる。




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