推しに告白(嘘)されまして。




仕事として、吸血鬼カフェの様子を軽く確認しようとしたが、廊下に面する窓には全て黒いカーテンが付けられており、中が見えない状態だ。
仕事を続けるには、このカフェに直接入るしかない。

カーテンで締め切られた入り口には、黒と白のフリフリのゴスロリワンピースに、黒いマントを羽織った女子生徒がいたので、入れてもらえるように声をかけた。



「ど、どうぞ!お、お客様一名様です!」



私に声をかけられて、緊張気味に女子生徒がカーテンを開ける。
すると、カーテンの先には、いつも見ている教室とは全く違う空間が広がっていた。

既存の白い蛍光灯の色を、暖色のものに変え、雰囲気を暖かめで、どこか古いものに。
カーテンは完全に黒いもので締め切られており、灯りはその暖色のものしかない。
さらにそのカーテンには、暗くなりすぎないように白のレースがあしらわれており、机にも似たような布が掛けられ、統一感と上品さを醸し出していた。

学校の教室らしい部分はなるべく黒の布で隠すように工夫されていて、そこにシンプルながらも高級路線を意識した装飾が飾り付けられている。

まさに吸血鬼の家をモチーフにしたような場所になっていた。

なかなかの作り込みだ。
私が審査員だったら、いい得点を入れたいレベルだ。
人気投票では、ここに一票を投じてもいいかもしれない。

…まぁ、悠里くんのクラスっていう時点で、入れたくて入れたくてうずうずしてるけど。



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