推しに告白(嘘)されまして。




「ちょっとケジメつけてくる!」



自分の失態に気がついた私は雪乃にそう言うと慌てて、沢村くんの教室へと向かった。
そして沢村くんの教室を見つけると勢いよく、ドアを開けた。



「沢村くん!」



いるかいないかわからないが、とりあえず沢村くんを呼んでみる。
すると「え、鉄崎さん?」と驚きながらも不思議そうにこちらを見る沢村くんと目が合った。
不意を突かれてキョトンとしている沢村くんもかっこいいし、可愛い。



「ちょっと今いい?」

「え、うん、大丈夫だけど」



沢村くんの元へと向かおうとしたが、それよりも早く沢村くんが私の元までやって来てくれる。
なので私たちは沢村くんの教室の入り口で話をすることになった。



「どうしたの?急ぎの用事?」



突然現れた私にただならぬ何かを感じたのか、少しだけ心配そうに私を沢村くんが見る。
沢村くんにとっては意味のわからない状況だろうに何と優しいのだろうか、私の推しは。



「今日の放課後、一緒に帰らない?」

「え」



私の誘いに沢村くんはまたあの可愛いキョトンとした表情を浮かべた。
そして私たちの様子を見ていた生徒たちはというと、



「…わざわざここに来るなんてやっぱり付き合っていたのか」

「一緒に帰ろって言ってない?」

「うぅ、私、本気で悠里くんが好きだったのに…」



と、様々なことを口にしていたが、そこに私たちの関係を疑う者はいなかった。

よし、とりあえず、私たちの関係を見せつけられた!かな?




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