推しに告白(嘘)されまして。




「…ここはあれだよ。さっき、机の上にメッセージがあったでしょ?そのメッセージがヒントになってて…」

「あー。わかったかも」



千晴にヒントを与えると、千晴はさらさらっと謎を解いて、その謎が示す、次の場所へと移動し始めた。

この脱出ゲームは、とある病気で死んでしまった女子生徒の心残りが原因で始まる。
つまりここからの脱出条件はその心残りを解消することなのだ。

その心残りとは、好きな人へ書いたラブレターを本人に渡せなかった、というもの。
そのラブレターを見つけ、その女子生徒の好きな人へと渡せれば、晴れてプレーヤーたちは脱出成功となる。

さくさくと謎を解き続けた千晴はついにそのラブレターを女子生徒の好きな人へと渡すことに成功した。



「おめでとうございます!…って、て、鉄崎さん!?」



見事脱出に成功した私たちをクラスメイトの女子生徒が笑顔で迎え…それから驚き表情を浮かべる。
この表情を見るのももう通算、10回以上だ。
私が各教室に現れるたびにクラスメイトたちは同じような表情で驚いていた。

まあ、仕事中の人が突然、プレーヤーとして現れたらどうしたんだ、ともなるだろう。
私の担当場所は私1人だけだったし。

驚きを隠せないクラスメイトに見送られながら、私たちはついに教室から出た。



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