推しに告白(嘘)されまして。
すっかり書類に目を通すことを忘れて、じっと千晴を見ていると、バチっと千晴と目が合った。
少し気怠げな千晴の目が、私の瞳の奥底を覗くようにじっと見つめる。
「ねぇ」
それからゆっくりとその形の良い口を動かした。
「バスケ部のあの沢村ってやつと本当に付き合ってんの?」
無表情にだが、どこか気になっている様子で私を見る千晴にまだここにも残党が…と重たい気持ちになる。
どうやら千晴も私と沢村くんの関係を疑っているようだ。
「そうだよ。付き合っているよ」
なので、私は力強く疑う余地なんてないようにしっかりとそう答えた。
すると千晴は無表情のまま私に質問を続けた。
「先輩って誰かと付き合ったことあった?今まで」
「ない。沢村くんが初めて」
「…ふーん」
私の答えに千晴が面白くなさそうな顔をする。
何だ?何故そんな顔をするんだ?
疑いはまだ晴れていない、とか?
千晴の次の言葉に身構えていると、千晴は面白くなさそうな顔のまま口を開いた。
「俺、先輩が好き。だから先輩の初めては全部俺がいい」
窓から射し込む夕陽にキラキラと輝く金髪。
そこから覗く誰もが美しいと思う顔の持ち主が何だかおかしなことを言っている。
絵に描いたようなキラキラ美人な千晴はその代償としてどこか頭がおかしいらしい。