推しに告白(嘘)されまして。
「…誰かの初めてを独占したいなんて普通に考えても無理でしょ?きっと親でも無理だよ?」
「でもそれが俺の望みなんだもん」
呆れたように千晴を見れば、千晴はどこか拗ねたようにこちらか視線を逸らした。
私よりも遥かに大きなこの男に何故か可愛いと思ってしまう。
「ふふ、私、反省文の監督なんて初めてだよ」
だからなのか私はつい柔らかく千晴に笑ってしまった。
「こんなに注意して全く改めない奴も初めてだし、こんなにも四六時中悩まされる相手はアンタが初めてだから」
そこまで言い、やはりとんでもないやつだ、コイツ、と改めて思う。
なので、千晴に「本当、いい迷惑だわ」と文句を言うと、千晴はまた嬉しそうに私を見た。
「柚子先輩の初めて俺知らない間にたくさんもらってたんだね」
「…いや、手に負えないっていうクレームなんですけど」
ペチンと呆れたように千晴の頭を軽く叩くと、千晴は嬉しそうにその瞳を細めた。
その瞳が何故かとても甘い気がして私はどこか落ち着かない気持ちになった。