推しに告白(嘘)されまして。
「これにさえ出れば、確実に学校中に鉄子と付き合っているのはお前だって、印象付けられるし、お前たちの間に入る隙はないってなるだろ」
「確かに…」
珍しく力説する陽平に、俺は素直に頷いた。
陽平の言う通りだ。
このコンテストに参加することによって、確実に外堀を埋められる。
先ほど聞いた嫌な噂なんてかき消せる。
「出るよ、これ」
陽平の提案に俺は真剣に頷いた。
それと同時にちょうど柚子が帰ってきた。
「ごめん!悠里くん!」
急いで帰ってきてくれたのか、額にうっすらと汗をかき、肩を揺らす柚子に、先ほどまでの暗い感情がすぅと消えていく。
柚子の姿を見るだけで、ここまで暖かい気持ちになれるなんて。
「待たせてごめんね」と本当に申し訳なそうにしている柚子に、俺は先ほどまで陽平たちと話していた〝ベストカップルコンテスト〟について、柚子に打診してみた。
「…私でいいの?」
俺の話を聞き終えた柚子は不安げに眉を下げた。
本当にたまに思うのだが、柚子は時折今のように、俺の彼女である自覚が足りない時がある。
今だって、何故、そう思うのか正直わからない。