推しに告白(嘘)されまして。
「柚子は俺の彼女じゃん。柚子じゃないとダメだよ」
流石に寂しくて、肩を落とすと、柚子は目を大きく見開いた。
それからおろおろし始めた。
「そ、そうだよね。わ、私は悠里くんの彼女だもんね。バカなこと言いました!ごめん!」
頬を真っ赤にして、謝る柚子の言葉に、また胸が暖かくなる。
柚子の言葉はまるで、太陽のようだ。
すぐに俺を暖かくしてくれる。
こうして俺たちは、特典のチェキと共に、ベストカップルコンテスト用の写真も撮ることになった。
壁を背に、2人で並ぶ。
俺の隣にいる小さな後頭部に愛しさが溢れた。
…ただ並んで撮るだけじゃあ、恋人っぽくないかな。
そう思って、隣にいる柚子の手にそっと、自分の手を重ね、するりと指を絡ませる。
「…へ」
突然のことに驚きの声をあげた柚子の耳元に、俺はそっと唇を寄せた。
「…こっちの方が恋人らしいかなって。嫌だった?」
「…」
俺の問いかけに、耳まで真っ赤にして、柚子が首を横に振る。
俺よりもずっと小さな手。柔らかくて、俺とは違う。
とてもとても愛おしい。
鬼の風紀委員長として、強い印象のある柚子だけど、それでも女の子なのだ。
守りたい。好き。
「んじゃ、撮るよー」
柚子への溢れる好きを抑えながらも、そう声をかけた陽平のスマホを俺はまっすぐと見つめた。