推しに告白(嘘)されまして。




悠里くんと手を繋いで、廊下を歩き続けていると、とあるものを見つけた。

デカデカと遠目からでも見える〝カップルコンテスト〟と書かれた文字。
ずらりと並べられた約20枚ほどの男女のツーショット写真。
その下に貼られた大量の小さなシール。
その横に立つ、放送委員の男子生徒。

あれは間違いなく、カップルコンテストの掲示板だ。

気がつけば、私たちはそこへと足を運んでいた。



「…」



そして私は、昨日撮った私たちの写真の下のシールの数に驚いて、大きく目を見開いた。

写真の下に貼られているシールこそが、1人一回できる投票のシールなのだが、その数が、私たちのところだけ、圧倒的に多いのだ。
私たちはどこからどう見ても、ぶっちぎりで一位を爆走中だった。

まさかこんなにも投票されているとは。
悠里くんの人気恐るべし。

予想外の結果に思わず驚いてしまったが、次に私にきたのは喜びだった。
ベストカップルに選ばれれば、タキシード姿の推しが見られる。つまり、この時点で、推しのタキシード姿がほぼ確定した、ということだ。

結婚する推しの姿が見られるなんて。
絶対、かっこいいに決まっている。
昨日から、吸血鬼悠里くんに、ユニフォーム悠里くんに、最後にはタキシード悠里くんって。
文化祭最高すぎでは?365日開催した方がいいのでは?

そんなことを思いながらも、つい頬が緩んでいると、隣にいた悠里くんがポツリと呟いた。



「…柚子のウェディング姿、楽しみだな」

「…」



あまりにも甘く優しい声音に首を捻る。

ウェディング姿?柚子の?



「…っ!」



そうか!私もベストカップルに選ばれたらウェディングドレス着るんだ!

やっと状況を理解した私は、そうだった!と思い出したと同時に焦った。

私なんかがウェディングドレスを着るとは。
しかも悠里くんの横に立つとは、嬉しい気持ちもあるが、畏れ多いという感情の方が余裕で勝ってしまう。



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