推しに告白(嘘)されまして。
「柚子?」
突然、顔色の悪くなった私に、悠里くんは「どうしたの?」と心配そうに顔を覗き込んできた。
かっこよくて優しい瞳に見つめられて、胸がじーんっと熱くなる。
見た目も中身も完璧な人はきっとこの人しかいない。
「い、いや、何でもない。ただちょっととんでもない大役に緊張してるだけで…」
改めて自分たちの投票スペースの小さなシールたちを睨みながらもそんなことを言うと、悠里くんはその瞳を柔らかく細めた。
「…大役か。そう言われると確かに緊張するかも。俺も柚子の相手役っていう大役だから」
「…っ!!!!!」
ズキューン!!!!と心臓の真ん中にときめきの矢が突き刺さる。
照れくさそうに、だが、どこか嬉しそうに笑う悠里くんはラブ狙撃ならぬ、ラブテロリストだ。
まさかこんな可愛らしい発言をされるとは夢にも思わなかった。
…可愛い。
推しがとにかく可愛い!
悠里くんの全てにやられながらも、私は必死で、冷静を装った。
ここはたくさんの生徒が往来する場所。
鬼の風紀委員長が、緩み切った表情を見せるわけにはいかないのだ。