推しに告白(嘘)されまして。
悠里くんは変わらず、女子生徒たちの様子を伺っていたが、急に重たくなった空気に、女子生徒たちは表情を曇らせた。
「…ね、ねぇ、ど、どうする?言いづらいよね…」
「けど、鉄子先輩以外に適任はいないよ?」
「言っちゃう?」
「もういくしかないよっ」
一度勢いを失った女子生徒たちは、小声で何やら相談をしているが、丸聞こえだ。
明らかに悠里くんを気にしている様子だったが、最後には吹っ切れた。
「「お願いです!先輩!お姫様役は先輩しかできません!」」
勢いよく頭を下げる二つの頭に圧倒される。
それから並々ならぬ熱を感じる2人に、私は優しく笑った。
千晴が千晴なりに、クラスメイトたちと頑張って、今日まできたことを私は知っている。
なので、悩む余地なしに力になりたいと当然思う。
「わかった。私でよければ力になるよ」
「ほ、本当ですか!?」
「やったぁ!」
力強く頷く私に、女子生徒2人は本当に嬉しそうに笑い、涙まで流していた。
大袈裟だな、と思うが、それだけ頑張ってきたのだろう、とも思う。
「悠里くん、ごめんね。まだ一緒に過ごせたのに、勝手に決めちゃって…」
「いや、いいよ。柚子しかできないみたいだし」
申し訳さなそうにしている私に、悠里くんはいつものように優しく笑った。
しかし、その瞳はどこか寂しげで、私はますます申し訳なくなった。
そしてそれと同時に腹を括った。
悠里くんに協力してもらっている以上、最高にいい舞台にしなければ。