推しに告白(嘘)されまして。
私と悠里くんは見事、ベストカップルに選ばれていた。
その特典として、今、推しである悠里くんはタキシード姿で、私と共にカップル席にいてくれている。
悠里くんが身にまとう、タキシードは、白で統一されており、胸元には、白薔薇まである。
吸血鬼カフェのコンセプトのまま、かきあげられた前髪は、大人っぽく、タキシードと合わせると、仄かに色気まで感じた。
私の隣で、ステージに視線を向ける横顔は、何よりも尊く、眩しい。
大人になって、結婚する悠里くんはきっとこんな感じなのだろう。
それを一番近くで見られるなんて、何て幸せなことなのだろうか。
もうこれ以上の幸運は私の人生には訪れないかもしれない。
感慨深く、悠里くんを盗み見ていると、ステージからこちらに視線を移した悠里くんと目が合った。
「ん?柚子?」
不思議そうにこちらを見つめる悠里くんが、あまりにも眩しすぎてつい瞳を細める。
か、かっこいいよ…。
結婚する推し…。
突然の推しからの視線に、ドキドキしながらも、目を離せずにいると、悠里くんはゆっくりと私の右手に自分の左手を重ねた。
ファファファファンサ!!!!
ファンサが凄すぎるって!!!!
推しからの供給過多に、頬がどんどん熱くなる。
嬉しさのあまりにいつかの時のように気絶してしまいそうだ。
そんな私に悠里くんは柔らかく微笑んだ。
私をまっすぐと見つめるその瞳には、何故か甘いものを感じる。
「…好きだよ」
悠里くんから呟かれた言葉はとても甘く。
この世の言葉とは思えない。
気がつけば悠里くんも私と同じように、頬を赤くしていた。