推しに告白(嘘)されまして。
「…どうしたの?」
あまり見ない表情に心配になり、悠里くんの瞳を覗く。
すると、悠里くんは暗い表情のまま、力なく笑った。
「…自信がないんだ。俺が柚子の彼氏なのに、周りにはそう思われていなかったりするし、華守との方が仲良く見えるし…」
伏せられた瞳は不安と寂しさで揺れている。
そんなふうに思わなくてもいい、と今すぐ推しを安心させてあげたい。
「私の彼氏は悠里くんだよ。確かに千晴と仲はいいけど、悠里くんのとは違うでしょ?千晴はただの後輩だから」
そう言って、真剣に悠里くんを見つめる。
だが、悠里くんの表情は未だに暗かった。
推しが私のせいで悲しんでいることが辛い。
「…違う、か。本当にそうかな。キスした仲なのに」
「…っ」
暗い声音が静かに訴えた内容に、肩を震わせる。
あの時、触れた、千晴の柔らかい唇を思い出してしまい、私の頬はより一層熱を持った。
千晴はただの後輩だ、と言ったそばから、こんなふうになるのは違う、と何とか千晴を自分の意識から追い出したいのだか、上手くいかない。
あの焦がれるような甘い瞳を忘れられない。
千晴のことを考え始め、おろおろし出した私を、悠里くんは苦しそうに見つめた。