推しに告白(嘘)されまして。
10.ドタバタなクリスマス。メイド兼フィアンセ(偽)。
1.クリスマスの予定
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いろいろあった文化祭が終わり、1ヶ月。
いよいよ冬休みが迫ってきたとある日の昼休みのこと。
窓の外に広がる寒空を横目に、私は暖かい教室で、雪乃と共に昼食を食べていた。いつも一緒に食べている悠里くんは、今日はバスケ部の用事があるらしい。
悠里くんと付き合い始めた頃は、こうして雪乃と食べることの方が多かったが、今では、悠里くんと食べることの方が多かった。
「何か久しぶりだねぇ、一緒に食べられるの」
ふと、雪乃が今、私が思っていたことと同じことを口にする。
「お互い違う相手と食べたり、用事があったりしたもんね。一緒に食べられるのは2週間ぶりくらいかな?」
なので、私は雪乃の言葉にすぐに頷いた。
悠里くんと一緒に食べる夢のような時間も好きだが、気心の知れた友人である雪乃と食べる時間も、安心感があり、楽しくて好きだ。
「悠里くんが柚子とお昼一緒にするようになっちゃったもんねぇ。最初は付き合ってんの?本当に?て、感じだったのに、今ではこの学校の誰もが知る、ベストカップルなんだもん」
「ふふ、まぁね」
おかしそうに笑う雪乃に、私は少しだけ誇らしげに胸を張った。
雪乃の言う通り、もうすっかり私は悠里くんの彼女として、板についており、誰もが私を悠里くんの彼女として認識している。
私は完璧な悠里くんを不必要な好意から守る壁なのだ。
「千晴くんとの噂も未だに健在ではあるけどね。でもやっぱ、公式は王子とだよねぇ。後夜祭の時も熱々すぎて、キス以上のことしてたし」
「だ、だから!そんなことしてないってば!」
ニヤニヤしている雪乃のいつものからかいに、つい大きな声でツッコミを入れる。
文化祭後、事あるごとに雪乃は後夜祭での私と悠里くんのことについて、からかってきた。