推しに告白(嘘)されまして。
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空が夕日の赤から、夜空の黒へと移り始めた頃。
風紀委員の仕事を終えた私は、いつもの待ち合わせ場所へと向かった。
下駄箱から少し離れた場所。
そこに佇む人物は、暗くなり始めたこの場で、誰よりも輝きを放っており、よく目立つ。
綺麗なサラサラの黒髪から覗く、かっこいい顔の頬は、寒さでほんのり赤くなっており、どこか色っぽかった。
彼こそが私の待ち合わせ相手、悠里くんだ。
悠里くんは、黒のダウンにグレーのマフラーで、私のことを待っていた。
冬服な悠里くんに胸がキュンとなる。
何を着ても私の推しは本当にかっこいい。
絵になる。最高である。
「悠里くん」
キュンキュンする胸を抑えて、私はいつも通り、悠里くんの名前を呼ぶ。
すると、悠里くんは伏せていた視線を上げて、私を見た。
「柚子、お疲れ様」
私と目の合った悠里くんが柔らかく微笑む。
その姿にまた胸がキューンと締め付けられた。
「悠里くん、今日は部活早く終わったんだね」
「うん。今日は調整程度だったから。明日はまたいつも通りだと思うけど。いろいろやりたいこともあるし」
「そっか。大会近いし、力入ってるね」
「今年こそ、ベスト8行きたいからね」
悠里くんと合流して、他愛のない会話をする。
いつも通りの流れで、校門へと向かっていると、ある人物の姿が目に入った。
綺麗なふわふわの金髪に目を引くモデル体型。
学校指定ではない、もこもこのグレーのセーターを堂々と着ている背中。
あれは間違いなく、千晴だ。
「ちょっと千晴」
気がつけば、私は後ろから千晴に声をかけていた。