推しに告白(嘘)されまして。
「本当に行くの?クリスマスだよ?」
納得いかない様子で悠里くんが私を見る。
一体何故そんな表情を浮かべているのか、よくわからなかったが、私は平然と続けた。
「うん。別にその日予定ないし。そういう約束だったから…」
「いや、そこは俺と…」
悠里くんはそこまで口にして、急に、ハッとした表情になる。それからしばし固まってしまった。
本当にどうしたのだろうか?
「…」
黙ったまま悠里くんをじっと見て、様子を伺う。
固まっていた悠里くんは、数秒後には、大きく瞬きをし、何か考えるように視線を伏せた。
そんな悠里くんからの次の言葉を待っていると、悠里くんはやっと言いづらそうに口を開いた。
「…柚子がバイトに行くことについては反対しないよ。けど…」
そこまで言って、悠里くんは、一旦言葉を止める。
「その日に住み込みで華守くんのところに行くのは反対」
そして、真剣な瞳で真っ直ぐと私を見据えた。
反対?どうして?
別にただバイトに行くだけなのに?
悠里くんの主張の理由が全くわからず、首を捻り、うんうんと考える。
何か言わなければ、と思っていると、私より先に言葉を発したのは、千晴だった。
「反対って言われてもねぇ。うちも困って先輩を頼ってるんだけど。その日はパーティーがあって、普通に人手不足だから」
「…それ、柚子である意味ある?」
「あるけど?」
バチバチと青白い炎が、千晴と悠里くんの間で激しく燃えている幻覚が見える。
千晴は笑顔で、悠里くんは真顔で、お互いに鋭い視線を向けていた。
相性はあまりよくないとは思っていたが、ここまでだったとは。