推しに告白(嘘)されまして。
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以前、千晴とメルヘンランドに行った時に乗った、あのリムジンで移動すること、約30分。
ついに私たちは千晴の家…あの華守グループの大豪邸へと着いていた。
リムジンの中から汚れひとつない綺麗な窓に手を当てて、その大豪邸をまじまじと見つめる。
大豪邸の周りは、豪華な塀で囲まれており、まるで人の家には見えない。
しかも、その塀のかなり奥に大豪邸があるようで、ここからは全貌が見えなかった。
あの向こうはリゾート地なのか?
それともホテルなのか?
本当にたったひと家庭のお宅なのか。
千晴の妹ちゃん、千夏ちゃんが以前うちを見て、犬の家と同じ大きさ、と言っていた理由が、これを見て痛いほどわかってしまった。
ここが千夏ちゃんにとって普通なら、うちが異常に小さく見えただろう。
あまりのスケールに放心していると、リムジンはゆっくりと停車した。
リムジンの運転席側には、小さなボックスのような建物がある。
一部ガラス張りのそこには、守衛さんのような人がおり、何やら運転手さんとやり取りをしていた。
そしてそのやり取りが終わると、リムジンは再び進み出した。
それと同時にリムジンの目の前にある門が、ゆっくりと自動で開かれていく。
「…」
とんでもないところに来てしまったのかもしれない、と私は目に映るもの全てに息を呑んだ。
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大豪邸に到着後、まず最初にとても落ち着きのある初老の男性に軽く挨拶をされた。
初老の男性は、影井さんというらしく、この大豪邸の執事長らしい。
正直、執事という存在を初めて見たので、本物だ、と、とても驚いた。
その後は、千晴の案内により、メイド専用の控え室へと移動した。
それから千晴に指示された通り、そこにあった服に袖を通した。