推しに告白(嘘)されまして。
私は今、由緒正しい雰囲気の黒と白で統一されたクラシックなメイド服に身を包み、千晴の部屋にいた。
「…うわぁ」
千晴の部屋のスケールに思わず、感嘆の声を漏らす。
広さはうちのリビングよりも広く、大きな窓に、ベランダまである。
1人で使うにしては大きすぎるベッドには、天蓋が付いており、大きなソファとテーブルの前には、大きなスクリーンまであった。
さらに、そのソファとテーブルとは別に、大きなテーブルと四脚の椅子まである。
その他にもたくさんのものがあったが、ごちゃごちゃしている印象はなく、むしろシンプルで高級感の溢れる印象を抱く部屋だった。
ここは男子高校生の部屋ではなく、富豪の部屋だ。
それかホテルのスイートだ。
あまりの異世界にしばらく呆けていたが、私は現状に気づき、慌てて首を横に振った。
いけないいけない。
私は今、ここにバイトに来ているのだった。
見学に来ているのではない。
「それで?私の仕事って何?人手不足なんだよね?パーティーがあるとかで」
パーティーに人手がいって、この部屋を掃除する人がいないとか?
早速千晴に問いかけた私に、千晴は瞳を柔らかく細めた。
「パーティーはまたあとで頑張ってもらうから」
それだけ言って、千晴が私の腕を引く。
そうしてやってきたのは、1人部屋にしては大きすぎるソファの前だった。
かなり大きく、そして長い為、普通にベッドとしても使えそうだ。
どんな仕事を言われるのだろう、と千晴の次の言葉を待っていると、千晴は、ぽすん、とソファに腰掛けた。