推しに告白(嘘)されまして。
「…あの、沢村くん」
デレデレした気持ちを切り替える為に、コホンッと咳払いをして、真剣な声で沢村くんの名前を呼ぶ。
そして私はその場に止まって、今日言いたかったことをゆっくりと話し始めた。
「まず責務を全うせず、現状にあぐらをかいて、沢村くんに迷惑をかけたこと、謝罪させて欲しい。本当にごめんなさい」
「え?責務?え?」
真剣な表情で謝罪をする私に沢村くんは戸惑いながらも、私と同じようにその場で足を止める。
そんな沢村くんに私は話を続けた。
「私、沢村くんの彼女なのに何もしていなかった。これからは時間さえ合えばぜひ一緒に登下校とかしたいし、あと連絡先も…」
「待って」
私が全てを話し終える前に沢村くんが突然私の言葉を遮る。
それから真剣ながらも申し訳なさそうに私を見た。
「俺の方こそごめん。俺がリードすべきだったのに受け身になって、全部鉄崎さんに言わせちゃって。彼氏として責務を全うしていないのは俺の方だよ」
な、な、な。
何て顔がいいんだ!
申し訳なさそうにこちらを見る沢村くんの目は少し俯いているせいもあり、上目遣いで。
絶対狙っていないのにどこかあざといその表情に私はやられてしまった。
顔がいい!
そしてとてもとても優しい人!
私が望んでアナタの彼女になったの!私が彼女の責務を全うすべき!沢村くんは何も悪くない!