推しに告白(嘘)されまして。
「なんか観よ、先輩」
私を自身の足の中に閉じ込め、左手で私の腰に手を回すと、千晴はそう言って、リモコンを操作し始めた。
目の前のスクリーンに映像が映し出され、たくさんの映画やドラマ、アニメのタイトルが並んでいる。
「…それは仕事じゃないよね?」
「え?仕事だけど?」
私の疑問に、千晴は不思議そうにすぐに答える。
「柚子先輩は今日から明日まで俺のメイドでしょ?俺のメイドは俺と一緒に過ごすことが仕事だから」
至極当然のように言われた千晴の言葉に、私は首を捻った。
とんでもなくおかしな仕事だが、もしかしたらそういうものなのかもしれない、と。
「先輩はアクション映画が好きなんだっけ」
「…うん、そう。千晴はミステリーも好きって言ってなかった?」
「言った。覚えてくれてたの?」
「まぁ、そりゃね」
「嬉しい…」
「わ、こら!バカ!」
私をまた、後ろからぎゅうと抱きしめた千晴に、今度は何とか抵抗する。
こんなやり取りを続けること、数分。
紆余曲折あったが、私たちは数ある中から、アクション映画を選び、見始たのだった。
あの体勢のままで。