推しに告白(嘘)されまして。
「私はどうしてこんな豪華なドレスを着ているの?どうしてこんな至れり尽くせりでメイクされてるの?私もメイドなんだから、千夏ちゃんの支度を手伝う側でしょう?」
流石にわけがわからなくて、隣にいた千夏ちゃんに戸惑いながらも問いかける。
すると、千夏ちゃんはこちらを見ないまま、おかしそうに答えた。
「何をわけのわからないことを言っているの?アナタはお兄様のフィアンセでしょう?フィアンセとして、我が華守のクリスマスパーティーに参加するのは当然じゃない」
「は、はぁ?」
千夏ちゃんのぶっ飛んた発言に思わず、眉間にシワが寄ってしまう。
どこをどう間違えたらそのような認識になるのか。
「…私は人手不足だからメイドとしてここに来たのであって、千晴のフィアンセとしてここに来たわけじゃないよ?しかも、この間まで、私が千晴の恋人かどうか疑ってたじゃん。それが一足飛びに婚約者って」
おかしすぎる、と千夏ちゃんを見れば、千夏ちゃんも同じような目で私を見た。
「…?あのお兄様になびかない女がいるの?現にアナタはお兄様の恋人になったのでしょう?だからフィアンセなのよ?」
「…いや。いやいやいや。ごめんけど、なびいてないし、恋人でもないし。しかも私、千晴以外の恋人がいますし」
「お兄様以外の恋人?」
なかなか噛み合わない会話に、今度は千夏ちゃんが首を傾げる。
それからしばらく黙って、また口を開いた。