推しに告白(嘘)されまして。




予定調和を崩したくて、始めたことだったが、気がつけば、街へ出る方が楽しい、と俺は学校へは行かなくなった。

その結果、学校での俺の評価や成績はぐっと落ちた。
俺は何とも思わなかったが、学校がそれを良しとはせず、あらゆる教師が俺の前に現れ、こう言った。



「千晴様、せめて…せめて、テストだけでも受けてください。それさえ受けてくだされば、アナタなら今まで通りの結果を得られますから」



泣きながらそう訴えた教師のテスト。
暇つぶしに解いて、影井に渡しておくと、学年一位になり、結局、成績はそのままだった。

周りは相変わらずな俺に困っていたが、それだけで、俺に何かを言ってくることはなかった。

やはり面白くない。
つまらない。
何をしても俺の世界には色がない。

だから刺激を求めて、また街に出る。
ここはいい。
目に映るものはどれも主張が激しく、飽きないし、何より誰も俺のことを知らない。

俺とどうにかなりたくて、甘い声を出す女、俺が気に食わなくて、絡んでくる男。
いろいろな感情で人が動き、好きなように俺に関わる。

俺が誰なのか知っている周りの人間は、常に俺の顔色を伺い、同じような行動しかしない。
それがつまらなくて仕方ないのだ。

だが、ここでなら、俺は俺らしくいられる気がした。



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