推しに告白(嘘)されまして。
12.推しの勇姿をこの目で見届けたい。
1.贈り物
side柚子
12月26日。
千晴の家での住み込みバイトを終えた次の日。
私はウィンターカップ会場の目の前にいた。
昨日は千晴のお父さんの最低な場面に朝から遭遇し、最悪な気分で一日が始まったが、その後はとても穏やかで、千晴と一日目と変わらず、楽しい一日を過ごした。
そして、その穏やかな時間の中で、私たちは12月25日ということで、クリスマスパーティーもした。
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私と千晴、たった2人だけのクリスマスパーティーの会場は、広すぎる千晴の部屋だった。
私たちは大きなソファに腰掛け、テーブルいっぱいに並べられた豪華な食事を楽しみながら、クリスマスのコメディ映画を一緒に観た。
そして、食事も終盤、デザートを待っている時のことだった。
「先輩、はい。クリスマスプレゼント」
突然、どこからか千晴が小さな白い紙袋を私に差し出す。
紙袋には黒で何やらブランド名のようなものが小さく書かれており、見るからに高級そうだった。
普段、ブランド物に触れていない、興味のない私でも、きっと何かのブランド物なのだろうと察せた。
「…え、くれるの?」
「うん」
平然と千晴から差し出された紙袋に戸惑ってしまう。
クリスマスプレゼントとはいえ、正直、こんなにも高級そうなものを頂くわけにはいかない。
それに私は千晴のようにクリスマスプレゼントを用意していない。
そのことを千晴に伝えると、千晴はその綺麗な顔を優しく緩ませた。