推しに告白(嘘)されまして。
「…あんまりだった?」
「…っ」
あまり見ない千晴の姿に罪悪感が募る。
ダメだダメだ。
とんでもないものとはいえ、千晴なりに一生懸命考えて選んでくれたものだ。
今の私のリアクションはきっと千晴を傷つけている。
「ち、違う。あんまりとかじゃなくて、予想外すぎて、驚いただけで…。私はこんないいもの千晴にあげられないし…」
慌てて弁明すると、千晴はその美しい瞳を柔らかく細めた。
「そっか…。そんなことか。…心配しないで、先輩。これよりももっと価値のあるものを先輩からもらうから」
「いや、無理だよ。私の財布には、数千円しか入ってないから…」
千晴の言動に思わず、苦笑いを浮かべてしまう。
今の私の手持ちでは、せいぜい小物とかくらいしか買えない。そんなものが千晴がくれたものよりも価値があるとは思えない。