推しに告白(嘘)されまして。
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つい昨日の出来事を思い返して、胸に変な感覚が走る。
心臓は静かに鼓動を上げ、まるで鐘を打つように鳴り響く。
不整脈かな?
それに伴う、体調不良?
昨日までバイトで、今日はウィンターカップ会場まで1人で遠出しているのだ。
このタイミングで疲れが出ているのかもしれない。
体調を崩さないためにも、無理はしないようにしよう。
そう思いながらも、私は会場へと足を進めた。
バイトの翌日。
何故休まず、無理をしてまで、立て続けにここに来ているのか。
それはもちろん、推しである悠里くんの勇姿をこの目に焼き付けるためだった。
冬休みに入っても、変わらず悠里くんとは連絡を取り合っている。
その為、23日から始まっているウィンターカップの結果ももちろん知っていた。
まぁ、悠里くんに教えてもらう前に、常にウィンターカップ公式SNSを追って、結果は確認していたが。
我が鷹野高校バスケ部は26日現在も勝ち進み、今日も試合だった。
今日の試合に勝てたら、準々決勝進出を決められ、悠里くんたちの目標であった〝ウィンターカップベスト8〟が達成されるのだ。
それをこの目で見ないわけにはいない。
…と、いうことで、私は今、その現場にいた。
1人よりも、2人の方がいい、と雪乃も誘ったのだが、普通に予定があると断られた。
今日は何度も言うが、ベスト8を決める大事な試合だ。
推しの晴れ舞台だ。
もし、私という存在が現場にいると悠里くんが知れば、あの誠実で優しい王子様な悠里くんのことだ。
間違いなく、いろいろな気を私に遣ってくれるだろう。
そんなことを大事な試合前に私はさせたくない。
試合だけに集中して欲しい。
なので、私は悠里くんの勇姿をこの目に焼き付けた後、悠里くんにはバレないように、そっと帰るつもりだった。
「…よし」
私が睨みつける先には、悠里くんの晴れ舞台、またの名を、戦場がある。
地元では見ない、おそらくライブなども開催しているであろう、立派な体育館の迫力を感じながらも、私は力強くまた一歩を踏み出した。
ーーーーその時。
「あーーー!!!!!お姫様だぁー!!!」
幼い女の子の可愛らしい声がこの場に響いた。