推しに告白(嘘)されまして。




「なんか本当、急にごめんね?里緒が柚子ちゃんの姿見つけて、大興奮でさ」

「わたし、お姫様にずっと会いたかったの!会えて嬉しい!」



少しだけ申し訳さなそうに眉を下げる里奈さんとは、対照的に、里緒ちゃんは本当に嬉しそうに目を輝かせていた。

私は里緒ちゃんの言葉に、改めて首を傾げた。
里緒ちゃんは何故、私をお姫様と呼ぶのか…?



「あの、えっと、私、お姫様ではないというか…。何故、お姫様になっているのてしょうか」



里緒ちゃんに聞いても、詳しくはわからないと思い、里奈さんに聞くと、里奈さんよりも早く、里緒ちゃんが口を開いた。



「お姉ちゃんはお姫様だよ!お兄ちゃんのお姫様なの!」

「お、お兄ちゃん…。え、あ、悠里くんの?」

「そう!」



可愛いー!!!!!

戸惑う私に、にっこりと花のように笑い、頷いた里緒ちゃんに、胸がズキューンと撃ち抜かれる。

つまり里緒ちゃんの中では、悠里くんの彼女=お兄ちゃんのお姫様、てことになっているのね!



「悠里がよく家で柚子ちゃんの話をするのよ。写真とかも見せてね。だから私たち、柚子ちゃんのこと、前から知ってたの。里緒なんか、お兄ちゃんのお姫様に会いたい!、ていつも言ってて。もちろん、私も会いたかったよ」



里緒ちゃんに優しい視線を向けた後、こちらにも優しく微笑む里奈さんにも胸がズキューンと撃ち抜かれる。

悠里くんといい、里緒ちゃんといい、里奈さんといい。
この家族はラブ狙撃手一家だ。危ない一族だぞ。



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