推しに告白(嘘)されまして。
「ここには悠里の試合の観戦に?」
「はい」
里奈さんに問いかけられて、頷く。
すると、そんな私を見た里緒ちゃんは、声高らかに、笑顔で言った。
「じゃあ、お姫様もわたしたち一緒に観よう!」
とんでもなく有り難く、素晴らしすぎる提案だ。
1人よりも、2人。2人よりも、3人の方が断然いい。
しかもその2人が悠里くんの最強のご姉妹となれば、ご褒美でしかない。
今すぐにでも、「ぜひ!」と言いたかったが、私はそれをグッと堪えて、おずおずと2人を見た。
「とても有り難い提案だけど、迷惑じゃあ…」
この眩しすぎる家族団らんに果たして私が混ざってもいいのか。
「迷惑なわけないじゃん?むしろ一緒に観たいな、ね」
「…は、はぅ」
悠里くんによく似た里奈さんの眩しい笑顔に見つめられて、思わず変な息が漏れる。
神様が創りし一族だ。
「ぜひ、お供させてくだしゃい」
私は気がつけばだらしない口調で、里奈さんに頷いていた。