推しに告白(嘘)されまして。
『運命diaryにハマってる。もう3回は読み直したよ』
「…え」
鉄崎さんからの意外な返信に思わず驚きで声を漏らす。
〝運命diary〟とは現在連載中の人気のバトル漫画だ。
運命diaryと呼ばれるノートを使ってバトルをするというものなのだが、様々なところに伏線が張り巡らされており、なかなか面白い。
俺も全巻集めるほど好きな作品なのだが、まさか鉄崎さんも好きだったとは。
そこまで考えて、俺はふとあることを思い出した。
確か今週末から〝運命diary〟の実写映画が公開されるはずだ、と。
『今週末、運命diaryの映画あるよね。一緒に行く?』
何気なく思ったことをそのまま打ち、鉄崎さんへ送る。
俺も好きだし、一緒に行ったら楽しそうだな。
が、少しして俺は自分がしてしまったことに気づいてしまった。
今、自分がしたことはデートに誘う行為だ、と。
や、やってしまった…。
俺と鉄崎さんは付き合い始めたとはいえ、まだ友達のような関係だ。
それなのに突然デートなんかに誘われたら困るはずだ。迷惑に違いない。
鉄崎さんを困らせまいと慌ててメッセージを消そうとしたが、すぐに既読がついてしまった。
既読がついてしまった今、メッセージはもう消せない。