推しに告白(嘘)されまして。



*****



ブーッとコート内に、試合終了の低いブザー音が響く。
得点板に表示されている得点は、鷹野高校126、白銀学園113。
危うい場面もあったが、この試合はうちの勝利で幕を閉じた。



「やったな!悠里!」



勝利を噛み締めていた俺にキャプテンの先輩が、ガバッと勢いよく肩をかける。



「はい…!」



そんな先輩に笑顔で答えるとそれを皮切りに、勝利の余韻がうちの部員に一斉に広がった。



「ベスト8だー!」



と、嬉しそうに拳を上げ、叫ぶ先輩がいたり、



「…ゔぅ、俺、まだ先輩とバスケできるんっすね」



と、泣いている、隆太がいたり。
それぞれが好きなようにその思いの丈を表現し、分かち合っていた。

2階のギャラリーにも俺たちの勝利を祝福する声が広がっている。

ーーー勝ったんだ。ついにベスト8だ。

鳴り止まない歓声の中、俺も他の部員たちに混じって、その喜びを分かち合う。
その中で俺はふと無意識に柚子が座っていた席を見た。



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