推しに告白(嘘)されまして。
2階のギャラリーの前から三列目の里緒の隣。
そこからずっと俺を応援してくれていた柚子を俺は知っている。
応援や歓声、様々な声に包まれたあの場で、俺は何度も何度も柚子の声だけを耳にした。
それがどれほど俺の力になったことか。
やっと俺の目に入った柚子。
柚子はそこで泣いていた。
嬉しそうに、笑いながら。
泣き笑う柚子の姿に胸がじんわりと暖かくなる。
感極まってああなったのだろうか。
あんなふうに泣けるほど、心の底から俺を応援してくれていたか。
柚子が俺を全力で応援してくれていたことはわかっていたが、ここまでだったとは。
俺は、俺の勝利に泣いてくれている柚子が、愛おしくて愛おしくて、堪らなくなった。
ーーーああ、今すぐ、会いに行きたい。
*****
試合終了後の挨拶を終え、監督から、
「ミーティングはあと!各自ストレッチ等、試合後のケアに専念するように!」
と、次の指示を受けた。
その為、俺たちは再びサブ体育館で、クールダウンをすることになった。
しかし、俺はどうしても柚子に一目会いたかったので、キャプテンから許可を得て、少しの時間だけだが、柚子と会う時間をもらった。
まだユニフォームのまま、はやる気持ちを抑えて、2階のギャラリーへ行き、柚子の背中を探す。
すると、柚子は先ほどと変わらぬ席で、姉ちゃんたちと共にいた。