推しに告白(嘘)されまして。
「何で謝るの?誰にでも得意なことと苦手なことがあるじゃん。柚子は料理が苦手だっただけだし、苦手なら俺がやればいいでしょ?もちろん、逆の時もあるしね。だから俺が料理担当ってことで」
「…っ」
ふわりと笑った悠里くんの言葉に胸がじんわりと暖かくなる。
優しい、素晴らしい、尊い。
悠里くんはなんてできた人間なのだろうか。
「これからは俺が料理作るよ?だから柚子は食べる係、ね?」
少しだけイタズラっぽく笑った悠里くんに胸がどくん、と静かに跳ねる。
え、え、え。
これからは?俺が料理作る?
未来、見据えられている感じ?
結婚してる感じ?私たち?
小さな部屋で悠里くんがたくさんの料理を片手に微笑んでいる。
「できたよ、柚子。いや、俺の奥さん、召し上がれ」
カレーに、唐揚げに、サラダに、パスタに、アイスに、ピザに、味噌汁に、エビチリに…。作りすぎなくらいのメニューに圧倒される。
私の旦那様はすごすぎる…。
じゃなくて!
なんということだろうか。
悠里くんの一言に、勝手に妄想が膨らみ、気がつけば、脳内で悠里くんと楽しい新婚生活を送ってしまっていた。
本人を目の前に一体何をしているのか。
ぶんぶんと首を横に振り、とんでもない妄想をどこか遠くへ飛ばすと、私は悠里くんに頬を赤らめながら歪な笑みを浮かべた。