推しに告白(嘘)されまして。
「…も、盛り付け係もできます」
「ふっ、そうだね。それもできるね」
絶対に人様には見せられない顔をしている私に、悠里くんが柔らかく微笑む。
普通の人なら怖がりそうなのに、その様子が悠里くんにはない。
優しさで平気なフリをしてくれているのか。
「じゃあ、ポテトも揚げられたし、今度はケーキを盛り付けよう。ね、盛り付け係さん?」
「う、うん!」
おかしそうにその瞳を細めて、私の顔を覗いた悠里くんに、私は元気よく頷いた。
そしてそのまま私たちはリビングへと向かった。
広いリビングのテーブルの上にあるお皿に、まずは悠里くんがケーキの土台となるスポンジを置く。
それからそのスポンジに悠里くんが生クリームを塗り、私が慎重に苺を並べた。
その工程を繰り返して、ケーキの形を作っていく。
最後にケーキの周りに悠里くんが生クリームを塗り、それっぽい形になると、悠里くんは私に言った。
「最後の仕上げ、柚子に任せてもいい?」
「…うん」
悠里くんの言葉に、真剣に頷いて、ケーキを睨みつける。
悠里くんが絞ってくれたクリームは、ケーキの真ん中が意図的に空けられており、おそらくそこに苺を置くのだろうとすぐにわかった。
なので、私は慎重にそこに苺を一つずつ並べていった。
なるべく綺麗になるように細心の注意を払いながら。
震える指で苺を並べ終え、最後にチョコのプレートを置くと、ついに、クリスマスケーキは完成した。