推しに告白(嘘)されまして。




「…やったぁ」



無事に大切な作業を終え、一息つく。
そこで、私はやっと息を吸えた。

すると、そんな私を見て、悠里くんは「ふ、ふふふ」と耐えきれない様子で笑い出した。

…可愛い。

ではなく。一体どうして急に可愛らしく笑い出したのだろうか?
疑問に思いながらも、悠里くんをじっと見ていると、悠里くんは笑いながら、私の顔に手を伸ばした。

そのままクイッと悠里くんの親指が私の頬を拭く。



「ついてたよ」



それからそう言って、悠里くんが見せた親指には、かなりの大きさの生クリームが付いていた。
何故、その大きさの生クリームが今の一瞬でついたのか、わからない。だが、あれこそが悠里くんが急に笑い出した原因なのだと、私は理解し、赤面した。

恥ずかしすぎる…。穴があったら入りたい。

自分の失態に頭を抱えていた、その時。




< 283 / 389 >

この作品をシェア

pagetop