推しに告白(嘘)されまして。
4.光の海で溺れた
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すっかり日も暮れ、クリスマス会はお開きとなった。
暗くなり始めた空には、ポツポツと輝く星が見え出している。
もうすぐ夜だ。
名残惜しくても悠里くんの家から帰ることになった私は寒空の下、悠里くんと共に並んで駅まで向かっていた。
横を歩いてくれている悠里くんをチラリと盗み見る。
吐く息は白く、鼻先が少し赤い。
寒そうな悠里くんに私は申し訳なさと、それから嬉しさでいっぱいになった。
推しをこんな寒い中、歩かせたくない。
今すぐにでも暖かい場所に戻ってほしい。
けれど、まだ一緒に居られるのは嬉しい。
幸せな気持ちを噛み締めながらも、肩にかけてあるトートバッグの紐をぎゅう、と握った。
この中には悠里くんへのクリスマスプレゼントがあるのだ。
別れ際に絶対に渡さなければ。
「…ねぇ、柚子。ちょっと寄り道してもいい?」
突然、伺うように悠里くんに瞳を覗かれて、一瞬、その尊さに息を呑む。
何をさせても絵になる罪な男。それが私の推しである。
「う、うん。もちろん」
しかしこの胸の高鳴りを悠里くんには絶対に悟られまいと、私はいつも通りの平静を保って、笑顔で頷いた。