推しに告白(嘘)されまして。



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悠里くんに連れられてやってきたのは、駅からほんの少し離れた、とある広場だった。
ビル群の中にあるその開けた場所には、普段は住民たちの憩いの場として、自然が広がり、ベンチや子どもたちが遊ぶ広いスペースがあるのだが、今日はそこが少しだけ違った。

生い茂る木々には、暖色のイルミネーションが施されており、その他にも様々なクリスマスに関するオブジェが並べられていた。
もちろんそのオブジェたちも暖色の光を放っている。

もうクリスマスは終わってしまったが、ここはまだクリスマスのままだった。



「…うわぁ」



広がる光の海に思わず感嘆の声を漏らす。
するとそんな私を見て、悠里くんは柔らかく笑った。



「ここ綺麗でしょ?柚子と一緒に来たかったんだ」



私をじっと見つめて離さないその瞳には、どこか甘い熱がある気がして、心臓がゆっくりと加速し始める。

すごくすごく反則な視線だ。
心臓に高負荷がかかってしまう。このままではムキムキな心臓になってしまう。

イルミネーションよりも眩しい推しについ瞳を細めていると、悠里くんはダウンのポケットから何か小さな箱を出した。



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