推しに告白(嘘)されまして。




「これ、クリスマスプレゼント」



悠里くんから差し出された淡い水色の箱には、白いリボンが付けられており、すごく可愛らしい。
まさかのタイミングで出された推しからのクリスマスプレゼントに目を白黒させながらも、私はそれをおそるおそる受け取った。

ゆ、悠里くんがわざわざ私のためにプレゼントを用意してくれていたなんて…。
恐れ多い……けど、嬉しい。

推しからの贈り物。
もうそれだけで全てが尊い。

悠里くんから頂いた小さな箱をいつまでもいつまでも見てしまう。
すると、そんな私に悠里くんは「中、見てみて?」と、おずおずと言ってきた。

悠里くんからの要望に私はすぐに頷いて、リボンを解く。
それから箱を開けると、そこには小さなシルバーの指輪が入っていた。
シンプルな、だが、洗練された美しい指輪。
何にでも合いそうな指輪の登場に私は目を丸くした。

お、推しが私なんかに指輪をプレゼント?

私は確かに悠里くんの名誉ある彼女だが、本当の意味での彼女ではない。
悠里くんがただバスケに専念するための壁的な存在なのだ。そこに異性への好意はないはずだ。

いや、いやいやいや。

悠里くんはとても真面目だ。
だから彼氏としての責任感からこうして私をきちんと彼女として扱ってくれているのだ。
この指輪には決して他意はない。そうだ、絶対にそうだ。



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