推しに告白(嘘)されまして。




「…悠里くん、ありがとう。すごく素敵な指輪だね」



やっとの思いで心の整理を終え、指輪から視線を上げると、こちらをまっすぐと見つめていた悠里くんと目が合った。



「気に入ってもらえてよかった。柚子は俺の彼女だからね。何か身に付けて欲しくてそれにしたんだ」



ズズズズキューン!!!!

真剣に、だが、どこか切実な表情をこちらに向ける悠里くんに心臓が見事に撃ち抜かれる。
全く計算されていない祈るような上目遣いは、私の心臓には悪すぎる。

かっこよくて、尊くて、眩しくて、さらにはあざとくて可愛いなんて反則だ。

徐々に熱を帯び始めた頬に手を当てながら、もう一度悠里くんを改めて見ると、イルミネーションの光が悠里くんに影を落としていた。
その影が微笑む悠里くんをどこか仄暗く見せる。



「付けられる時はそれを付けていて欲しい。俺のわがままだってわかっているけど、どうしてもそうして欲しいんだ」

「も、もちろん!肌身離さず付けます!」



おずおずと遠慮がちに、しかし、その瞳には確かな力強さを帯びた悠里くんの願いに、私は食い気味に返事をした。
推しの願いを聞かないわけがないではないか。

嬉しい気持ちでいっぱいになりながらも、今、私も悠里くんにクリスマスプレゼントを渡すべきだ、と判断した私は指輪を一度カバンへとしまおうとした。
…したのだが。



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