推しに告白(嘘)されまして。




「しまわないで、柚子。今、付けて欲しい…」



と、しおらしくこちらを見る悠里くんにそれは止められた。
悠里くんのねだるような視線に心臓がまた加速する。

痛い。心臓が痛い。



「う、うん。わかった」



何とか平静を保ちながら、頬を赤くし、私はぎこちなく悠里くんにそう返事をした。
それから私は悠里くんの願い通り、箱から慎重に指輪を出して、左手の薬指に指輪を付けてみた。

大きすぎず、小さすぎず、ピッタリだ。
キラリと私の指で輝く指輪に私は表情を綻ばせた。



「…かわいい」



推しからのプレゼントに感動して、小さく呟く。
そんな私に悠里くんは満足げに優しく微笑んでいた。

はっ。いけない。
悠里くんに私もクリスマスプレゼントを渡さなければ。

嬉しすぎて、幸せすぎて、しばし現実を忘れていたが、やっと正気を取り戻し、慌てて今度こそ、カバンから悠里くんへのクリスマスプレゼントを出す。



「はい、これ。私からのクリスマスプレゼント」



そしてクリスマスの絵柄の袋を、悠里くんにやっと差し出した。



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