推しに告白(嘘)されまして。
「ありがとう、柚子。中見ていい?」
「うん」
嬉しそうにプレゼントを受け取って、悠里くんが袋の中を覗く。
すると、悠里くんは柔らかく瞳を細めた。
「うわぁ。服?めっちゃいいね」
「そう。あのバスケの練習着に、て思って買ったの。悠里くんに似合うと思って…」
「そっか…」
私の説明に、悠里くんはさらに嬉しそうになる。
その姿があまりにも尊くて、私は神に感謝した。
こんなにも尊い存在をこの世に授けてくださり、ありがとうございます。
「好きだな…」
ポツリと呟かれた悠里くんの言葉に胸が暖かくなる。
「私も」
と、悠里くんに笑いかけると、悠里くんの表情は一瞬だけ、曇った。
また悠里くんの顔に暗い影が落ちる。
イルミネーションの光が悠里くんをそうさせる。
ほんの少しだけどこか暗い気がする悠里くんに疑問を抱いたが、その思考はすぐに吹っ飛ばされた。
悠里くんがゆっくりと私に迫り、優しくその唇を私の唇に落としていたからだ。
「…っ」
推しからのキスに私は息を呑んだ。
甘い、甘い、空気が、私に息の仕方を忘れさせる。
ここにいる人たちは皆、イルミネーションに夢中で、誰も私たちのことなど見ていなかった。