推しに告白(嘘)されまして。




まさかあれが原因なのか?
私が千晴にマフラーを貸していると思って、嫌な気持ちになってる?
せっかく築き上げてきた、私と悠里くんの関係が疑われる要素になるから、とか?



「ゆ、悠里くん。千晴のあれはね、もう私のマフラーじゃないんだよ?貸してるわけじゃないの」

「…え?」



おずおずと千晴のマフラーについて切り出した私に、悠里くんが不思議そうに首を傾げる。
よく状況を飲み込めていない表情だ。



「これいいでしょ?先輩が使ってたやつ、クリスマスプレゼントでもらったんだよね」



そんな悠里くんに私が詳しく説明するよりも早く、千晴は何故か勝ち誇ったように笑った。
千晴の笑みの理由はよくわからないが、千晴の説明に便乗して、私は「そう!」と明るく頷く。



「ふーん。そっか…」



すると、悠里くんはどこか面白くなさそうに小さくそう呟いた。

あ、あれ?何で?



「先輩、クリスマス楽しかったねぇ。これ、もらえてめっちゃ嬉しかったし。俺があげたクリスマスプレゼント、先輩ちゃんと付けてる?」



様子のおかしい悠里くんなど気にも留めず、千晴が楽しそうに笑う。
そんな千晴を無視するわけにもいかないので、私は一旦、悠里くんのことは置いといて、千晴に応えることにした。



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