推しに告白(嘘)されまして。
柚子は根本では嘘がつけないのだ。
そこが愛らしくて、堪らない。
…好き。
また柚子への好きが胸へと蓄積される。
こんなにも愛おしい存在、例え、俺に向ける感情が俺と同じものではなかったとしても手放せない。
柚子と恋人同士でいたい。ずっと。
「…ごめん。最初の告白は嘘だった」
俺は静かに視線を伏せ、そう切り出した。
今までのことを謝罪し、柚子ときちんと向き合う為に。
「柚子にフラれるつもりで告白したんだ。柚子にフラれて、傷心中って理由で俺への告白を全部断ろうとしてた。都合よく柚子を利用しようとしてたんだ、俺。柚子と付き合ったのもそれが理由だった」
告白の理由を包み隠さず柚子に伝えることが怖い。
けれど、きっと怖がっていては、先へは進めない。
俺は全てを告白した後、ぎゅっと自身の両手を握った。
その両手は緊張でほんのり汗ばんでいた。
「知っていたよ」
俺の耳に優しい柚子の声が届く。
あまりにも優しいその声に、俺は思わず視線を上げた。
「全部知った上で悠里くんの告白を受け入れたの。だから悠里くんは何も悪くないんだよ」
視線の先で柚子はやはり俺の予想通り、少しだけ寂しげに笑っていた。
その表情に胸がざわつく。
まるで今にも別れを告げそうな優しくも、切なげな表情に。
「柚子、違う、俺は…」
咄嗟に柚子の言葉を否定したくて、言葉を紡ぐ。
しかし、それは冷静な柚子の優しい声に阻まれた。