推しに告白(嘘)されまして。
「悠里くんはもう私のことまで頑張る必要はないからね。これからはバスケに専念して」
違う、違うんだよ、柚子。
何も頑張ってなんていなかった。
俺は好きでずっと柚子と一緒にいた。
「ごめんね。本当はあの時、私にフラれて晴れてバスケに専念できるはずだったのに、今まで私に付き合わせて」
何でそんなこと言うの。
柚子にフラれて、よかったはずがないのに。
付き合えたからこそ今があるのに。
「ありがとう、悠里くん。私に夢を見させてくれて」
やめて、やめてくれ!
清々しそうに笑う柚子に胸が張り裂けそうになる。
彼女は全部が全部、違うことを言っている。
それを訂正したくて、俺はやっと口を開いた。
「最初の告白は確かに嘘だった。…けど、それ以外は全部、本当だから。柚子にどんどん惹かれて、好きで柚子の彼氏でいたし、好きだからこそいろいろやったんだよ。優しかったのも、柚子から見て思いやりがあるように見えたのも全部、柚子が好きだから」
ゆっくりと一つ一つ丁寧に教え込むように、言葉を吐く。
柚子の認識が全て間違っていたのだと、わかってもらえるように。
「バスケの為に柚子と付き合っていたわけじゃない。ちゃんと柚子のことが好きで付き合っていたんだ」
まっすぐと焦がれる思いを胸に柚子を見れば、柚子は頬を赤く染め、うるうるとした瞳でこちらを見つめていた。
キラキラと宝石のように輝くそこには俺と同じものはやはりない気がした。
柚子は果たして自分の本当の気持ちの本質に気づいているのだろうか。