推しに告白(嘘)されまして。
15.嵐のバレンタイン準備。

1.幸せな余韻





side柚子



私の推し、沢村悠里くんと私、鉄崎柚子は晴れて正式にお付き合いすることになった。

ーーーなんと夢のような話なのでしょう。



「推しが本気で私のことを好きだったなんて…。あれも、これも、夢のような出来事、ぜーんぶ、形だけ彼女である私への気遣いからじゃなくて、本気だったんだよ?やばすぎるって、きゃーっ」



私の隣を歩く雪乃に興奮気味につい昨日実際に起きた出来事を伝える。
すると、雪乃はあまりにも興味なさげに小さく笑った。



「よかったねぇ」



いつも通りの雪乃に特に何かを思うことはない。
だが、この興奮を伝えずにはいられず、私は次の授業の教室へと移動中、ずっと雪乃に惚気話をしていた。
ちなみに朝から暇さえあれば、常にこの話を続けている。



「悠里くんと本当の意味でアツアツになれてよかったじゃん。私は最近、いい男が3人しかいないんだよねぇ」

「3人?え、多くない?」

「えー。そう?でもちょっと前までは、10人くらいはいたしさ。3人は少ないと思うけど」



気だるげな雪乃に驚嘆の視線を向けると、雪乃はそんな私に軽く笑った。
清楚系小悪魔美少女の価値観、恐るべし。
私なんかでは、到底理解できない領域だ。



< 320 / 429 >

この作品をシェア

pagetop