推しに告白(嘘)されまして。
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「大丈夫?お話しできる?」
少し経ち、だんだん落ち着いてきた女の子を見て、沢村くんが優しい声音で女の子の様子を窺う。
女の子はそんな沢村くんに「…う、うん」と泣きながらも頷き、そこから私と沢村くんにゆっくりと状況を教えてくれた。
ここに一緒にきていた女の子の保護者であるお母さんは、どうやら今、目の前にあるトイレにいるようで、女の子が泣いていた理由は、お母さんのことを少し待っている間に転んでしまい、ポップコーンをダメにしたことが辛くてということだった。
「ポ、ポップコーンどうしよう。このままじゃ食べれない…」
喋れるようになったとはいえ、涙が止まったわけではない。
未だに悲しそうに涙を流し泣き続ける女の子の姿が気の毒で胸が痛む。
なので、私はその涙を止める為にある行動に出た。
「はい、これ」
「え」
私に突然ポップコーンを渡された女の子がキョトンとした顔で私を見る。
「ポップコーンなら大丈夫だよ。ね?」
そんな女の子に私は努めて優しく笑った。
どうかこれで元気になって欲しい。
そう願いながらも女の子を見ると、女の子はキラキラとした瞳でこちらを見ていた。
「い、いいの?」
「うん。いいよ」
「ほ、本当に?」
「本当に」
「…っ!ありがとう!お姉ちゃん!」
最初は遠慮がちにこちらを見ていた女の子だったが、私の言葉を聞き、満面の笑みになる。
それから私から受け取ったポップコーンを本当に大事そうに抱きしめていた。
泣き止み笑顔になった女の子を見て私はほっとしたのだった。