推しに告白(嘘)されまして。
「あとはこちらにある苺やブルーベリーを使って、美しくトッピングするだけよ」
テーブルの上にある苺やベリー系のフルーツを千夏ちゃんが丁寧に両手で指す。
ボウルに入れられているそれらは生チョコを冷蔵庫で冷やしている間に、千夏ちゃんと私で一緒に準備したものだった。フルーツを洗ったのは私で、切ったのは千夏ちゃんだ。
私の前に並べられたなかなかいい感じの生チョコタルト。私が作ったとは思えないクオリティのそれにあとは目の前にあるフルーツをいい感じにトッピングするだけだ。
さすがにそれだけなら料理が苦手な私でもできるだろう。
私は早速タルトの上に一つ一つフルーツを慎重に並べ始めた。
「…」
そして並べ始めて固まった。
…なんか元気いっぱいすぎないか?
生チョコタルトに所狭しと並べられたフルーツたち。
ギチギチに詰められたそれはとても窮屈そうで、綺麗には見えない。
じっと目の前の生チョコタルトを見つめて、小さなブルーベリーをとりあえずまだ空いているところに置いてみた。
だが、それでも、やはり印象が良くなることはなかった。
何で?
どうしたらよくなるのか、わからず、千夏ちゃんの方を盗み見る。
すると、千夏ちゃんの前には、芸術的な生チョコタルトがもう三つも並んでいた。
私はまだ一つもできていないというのに。
「…すごい」
千夏ちゃんの美しく、美味しそうな生チョコタルトに思わず、感嘆の声を漏らす。
生チョコの上に添えられたベリー系のフルーツと苺は私よりも少量ながらも、バランスよく配置されている。
私と同じものとは思えない出来で、プロが作ったかのような見た目だ。
私の声に気づいた千夏ちゃんは、こちらに視線を向けた。