推しに告白(嘘)されまして。




「…お義姉様」



そして、私の生チョコタルトを見て、言葉を失った。

ああ、言われなくてもわかる。
これはかなり落胆されている。



「お義姉様、いい?トッピングはやればやるほどいいものではないのよ?大事なのはバランスですわ。お義姉様のタルトは欲張りすぎだわ」



呆れたようにそう言い、千夏ちゃんは「これも、これも、これも、不必要ですわ!」と苺やブルーベリーを指差していく。
私はそんな千夏ちゃんに「うん」と真剣に返事をし、次のタルトに活かすことにした。
失敗は成功のもと。やればきっとできるのだ。

欲張り生チョコタルトはお父さんへのチョコにするとして、私は残り二つのタルトのトッピングを始めた。
もちろん、千夏ちゃんのアドバイスを忘れずに。



*****



やっとの思いで生チョコタルトを完成させ、いよいよラッピングの工程に入った。
最初の生チョコタルトこそ、元気いっぱい欲張りタルトになったが、残り二つは千夏ちゃんのアドバイスのおかげで、少しはマシになった。

千夏ちゃん曰く、二つ目のタルトは、〝恐れすぎ、貧相タルト〟で、三つ目が、〝バランス最悪、アンバランスタルト〟なのだが。
そんな辛辣な千夏ちゃんだが、最後には「でも頑張りは認めるわ。さすがお義姉様、苦手なことにも、逃げず立ち向かう姿は圧巻だったわ」と、どこか上から目線な笑顔で拍手を送ってくれた。

大きなテーブルの上には、もう生チョコ作りに使われた調理器具たちはない。
それらは先ほど片付け、今は小さな箱やリボン、紙など、ラッピングに必要なものが並べられていた。

そこから私は小さな箱を手に取り、生チョコタルトを入れながらも、ふと思ったことを口にした。



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