推しに告白(嘘)されまして。




そんなことを思いながらも映画に釘付けになっていると、ふと、斜め前の座席から小さな光を感じた。
気になって先ほど光っていた場所に視線を向けると、そこには若そうな2人の男の人がこそこそと何かをしている姿があった。

何をしているんだ?

彼らのことが気になって、映画ではなく、彼らのことをじっと見る。
すると、彼らのうちの1人が、こっそりと鞄からスマホの一部を出し、その一部をスクリーンへと向けていた。

あれはどう見ても盗撮ではないだろうか。
何と許せない行為なのだろうか。

彼らのしていることに気づき、怒りが湧いてくる。
だが、大事にはしたくない、と思った。
ここには沢村くんを始め、運命diaryの映画を楽しみに来ている人たちがいるのだ。
ここで騒ぎを起こして映画を台無しにするなんて絶対に嫌だ。



「ちょっと、お手洗いに行ってくる」



なので、私は小声で沢村くんにそう言うと、一度このシアター内から出た。



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