推しに告白(嘘)されまして。
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シアター内から出て数分後。
私は仁王立ちでその場に正座している20代くらいの男二人組を劇場内廊下で睨みつけていた。
仁王立ちしている私の後ろには映画館スタッフの大男が2人もいる。
私の後ろに控える映画館スタッフの方はなかなか迫力のある方で、この状況に男二人組はダラダラと冷や汗を流しながら下を向いていた。
「盗撮していたことはわかっているのよ?さっさとスマホを出しなさい」
私にそう言われて、凄まれる男二人組だが、先ほどからずっと黙って下を向いたままで何も言おうとしない。
一体何故、このような状況がこの劇場内廊下で完成してしまったのか。
その理由を簡単に説明すると、シアター内から出た私がすぐに映画館のスタッフの方に状況を報告し、そしてそれを聞いたスタッフの方が、大男2人を招集、その大男2人と私でシアター内へ乗り込み、盗撮犯二人組を連行したからだった。
連行中、たまたま沢村くんと目が合い、沢村くんがとても驚いた様子でこちらを見ていたが、私はそんな沢村くんに申し訳なさそうに会釈して、さっさとあの場から離れた。
会釈の意味はもちろん「ごめんなさい」だ。
沢村くんは優しいので、きっとあんな場面を見てしまえば、私のことが気になり、映画に集中できなくなってしまうだろう。
私が沢村くんの貴重な映画時間を邪魔しているのだ。
とてもとても申し訳ない気持ちになるが、それでも悪いのは盗撮犯で、それを許す私ではない。
なので今現在私は盗撮犯の前で仁王立ちをしていた。