推しに告白(嘘)されまして。





アイツ!沢村くんの言うことを無視するなんて!



「顔をあげなさい!」



盗撮犯の態度に腹が立ち、私は盗撮犯の顔を両手で勢いよく掴む。そしてそのままグイッと無理やり顔をあげさせた。
私に無理やり顔をあげさせられた盗撮犯と私の目が合い、盗撮犯が顔をまた青くする。

やっぱりこの態度は何かを隠しているものだし、確実に無実の人間がする表情ではない。

ギロリと盗撮犯を睨んでいると、「ありがとう、鉄崎さん」と沢村くんが私に優しく微笑み、スマホの画面を盗撮犯の方へと向けた。



「あ、やっぱり」



その場から立ち、ロックが解除されたらしいスマホを触り始めた沢村くんがそう呟く。
それからこの場にいる全員にスマホの画面を見せた。



『…私たち戦うしかないの?』

『ああ、そうだ』



そこに映し出されていたのは先ほど私も見ていた運命diaryの映像で。



「盗撮映像を隠す為にライブラリじゃなくて別の場所にロックかけて保存してたみたい」



沢村くんはそう言うと私にまた優しく笑った。



「そのメガネも怪しいですよね。右にある小さい穴ってカメラのレンズじゃないですか?」

「え!いや、ちが…」



沢村くんに微笑まれて、メガネを掛けている方の盗撮犯が気まずそうに下を向く。

絶対そうじゃん!

沢村くんの言葉に私はすぐに盗撮犯のメガネを奪う。
それからすぐに大男映画館スタッフの方にそれを渡した。



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