推しに告白(嘘)されまして。
「現行犯ですね、連れて行きます」
メガネとスマホを確認した大男スタッフの1人が淡々とそう言い、盗撮犯の1人を無理やり立たせる。
さらにもう1人も同じように立たされて、連行させることになった。
これでやっと解決である。
「このクソ女!お前のせいで計画が台無しだ!」
「お前みたいな凶暴な女、誰も女として見ねぇよ!このゴリラ!」
と、思っていたのだが、盗撮犯2人組は去り際に急にしおらしい態度から一変し、荒々しい口調でこちらに叫ぶ。
何と失礼なやつらだ。逆恨みもいいところだ。
こちらを睨みながらも去っていく盗撮犯たちに「うるっさい!この犯罪者!」と叫ぶ。
すると私の横にいた沢村くんが突然私の頭を自身の肩へと寄せた。
な、な、な、な、突然、何!?
「ここにちゃんと女の子として見ているやつがいるから」
突然のことに動揺する私なんて気にもせず、沢村くんは今まで聞いたことのないほど低い声でそう言う。
声だけで沢村くんの怒りが伝わってくる。
推しが私の為に怒ってくれている。
推しが私を〝女の子〟として見てくれている。
推しが私の頭を抱き寄せている。
推しが…。私の推しが…。
推しからの供給があまりにも多すぎて、意識が遠のきそうになる。
ここは天国かな?
あまりの衝撃に意識を失いそうになったが、私は何とかそれに耐え、ただただ精神を統一する為に遠くを睨み続けた。